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イベント会社でクズ扱いされる話 6ページ目

反省の時間

「本当に、申し訳ございませんでした」
3分後には教育係の洋子も呼び出され
二人は凛香の前で土下座して謝った。

凛香は悪びれることもなく洋子の顔をヒールで踏みにじる。
洋子の髪は乱れ、少し年老いてさえ見えた。

「お前は立て」
そう言って義明の頭を軽く蹴った。

義明が立ち上がると

バシ!

手加減のないビンタ。

義明が目を開けると

バシ!!

再びビンタ。

この状況ではもはや何をされても逆らえる状況ではない。

「ふぐうっ!!」

今度は股間を蹴られた。
義明は地面に転がり悶えている。
すると、髪をつかまれて
そのままどこに連れていかれるかと思ったら
掃除用具入れのドアを開け
そこに義明を突っ込んで
ドアを閉じた。

「いい?私がいいっていうまで出てくるなよ
出たら最後
すべて社長にばらして
お前はクビ!
いやそれどころじゃないよ
警察沙汰かもね」

「分かった?!」
凛香はドアをこぶしで叩いた。

「はいぃ・・・」
奥から情けない声が聞こえる。

「あんたがこいつをきちんと教育してないからでしょ?」

今度は洋子がいたぶられた。
義明は、掃除用具入れの中から
洋子が謝る声や、ぶたれる音、凛香の怒る声
などが聞こえるが、出るなと命令された以上
どうすることもできない。

「あんたにぴったりの場所で反省させてあげる」
そう言われて洋子は向こうに連れていかれた。
耳を澄ましていると
どうも洋子はトイレに閉じ込められたようだ。

もう今日は誰もいない。
凛香の足音が向かってくる。

「いい?お前たちはしばらく反省してなさい
いつ許すかわからないけど
私の機嫌がよくなるまで
ずっと反省してないさい。
素直に反省し続けたら
そこから出してあげる
分かった!?」

「はい・・・」
義明は返事をした。
同じように洋子も言われたのだろう。

洋子がそれから動く様子もない。

そしてなんと、凛香は会社から出て行ってしまった。
つまり掃除用具入れとトイレに、洋子と義明は閉じ込められたのだ。
もちろんかぎもかけられていないので
出る事なんて容易だ。
しかし出るなと命令された。

凛香はもういない
しかしいつ帰ってくるかわからない。
二人は犯した罪と、凛香の権力に逆らえず
その狭い空間で、反省を続けることになる・・・

埃まみれの義明

「ひいっ!」
義明の背中に何か虫のようなものが付いた気がした。
たかが虫だがこの真っ暗な中では怖い感覚しかない。

思わずドアを開けて飛び出したくなったが
必死で身体をバタバタさせながら我慢した。

やがてそれは埃だったと気が付くのだが
義明は動転して汗をかき始めていた。

しかしここから出てはいけないのだ。
なぜならば凛香が命令したからだ。

凛香はすでにここにはいない。
出てもおそらくばれないだろう。
帰ってきたらまた入ればいい。

しかしそんな勇気もないし
自分が犯した罪をばらされる恐怖を考えると
義明は逆らう気など全くなかった。

熱いし、汚いし、臭い掃除用具入れ。

いつまで入っていればいいのだろうか。
そういえば終わりがいつになるか
聞いてもいなかったし、教えてもくれなかった。

しかし命令された以上逆らうことはできない。
おそらく顔も埃まみれになっているだろう。
だがそんなことは関係ない。

義明は永遠に続くようなこの時間を
1分1秒と味わい、自分の犯した罪を反省した。
凛香の言う通り、反省するしかないような
そんな空間だった。

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