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イベント会社でクズ扱いされる話 4ページ目

踏みにじられる義明

これがSMプレイだったらどれだけよかったことか。
義明はそう実感した。

義明は昔から仕事ができる人間ではなかったが
せめて役に立つような存在ではいたかった。
しかし今は会社にいることで回りに迷惑をかけたり
不愉快な思いをさせたり
損害を与えたりしている。

いくらM男と言えど
それが続くと辛い。
本当に落ち込んでしまう。

さらにそれに加えて
この会社には怖い女性が何人もいる。
彼女たちに自分の失敗を思い知らされると
本当に泣きそうになってしまう。

今では唯の話し声を聞くだけで
緊張してしまうし
怖いという感情も増してきている。

そんな中でのこんな大きなミス・・・

義明はもう訳が分からない
頭が全然働かない状態になっていた。
だからいじめられているこの状況で
M男としての快楽はほとんどなく
本気で唯を恐れ、自分の無能さを嘆き
この場を何とか逃れたいと思っていた。

そんな義明を見て
少しは優しくしてあげたらいいのだが
唯は昔から仕事のできる女性。
義明の気持ちなど到底理解できなかった。
むしろ、心の底から軽蔑し、憤りを感じていた。

「うぐっ!」

なんと唯は車の外で土下座している義明の顔を
パンプスで踏みつけた。
アスファルトに顔がすれて痛みを感じる。
そしてゆっくりと足先を動かして顔を踏みにじった。

「お前もうこの会社クビだね・・・」

「うぅ・・・」

「あ、もうお許しください
とか
申し訳ございませんとか
いいから。

これだけ迷惑かけたんだから
社長に言ってクビにしてもらうから」

「い、いくところが・・・
ありません・・・」

「それは私には関係ないわよ
それに行くところがあろうと
なかろうと
迷惑かけたんだから
この会社にいる価値無いでしょ?

恨むんだったら
私じゃなくて
自分の無能さを恨みなさい」

「うう・・・

ううぅ・・・」

義明は泣いていた。
ずっと年下の女性にいじめられ
これだけ惨めな目に合わされたことは
いつの日か、M男として
嬉しい思い出になるかもしれない。

しかし今は別だ。

本当に情けなくて
どうしていいか分からず
辛い瞬間だった。

部外者から見れば
また働く場所を探せばいいだけじゃないの?
と思われるかもしれないが
当事者の義明からすれば
せっかく見つけたM男としての
居心地のいい職場だったのに
もう二度とこんな職場はないかもしれないのに

明日明後日の自分はこの会社にいないかもしれない・・・
そう思うと本当に悲しかった。

社長の人柄

しかし明日のことなど本当に分からないものだ。
翌日社長に呼ばれ
いよいよ終わりかと思っていたら

社長の姫は笑いながら
「あなた唯にかなり叱られたみたいね。
元気出して!

クビ?

しないわよ。

だって一生懸命頑張ってるじゃない。
ミスは誰にでもあるものよ。
挽回できるように今からもっと頑張りなさいね」

と言われた。

義明は思わずその場で跪いてお礼を言おうとしたが
そうすると向こうが真剣に励ましてくれているのに
SMでリアクションしているようで失礼だと思ったのでやめた。
義明はこれ以上ないくらい深々と頭を下げて

「ありがとうございます社長
反省して今から全力で頑張ります」
と言った。

義明は今までこういった優しさに触れたことがなかったので
社長の為だったらどんなことでもしたい
と思うほどだった。

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