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イベント会社でクズ扱いされる話 3ページ目

最高のミス

「斉藤 義明と申します・・・」

義明は会長と名刺交換をした。

すると会長はその名刺をじっと見つめ
こう言った。

「斉藤?
斉藤かね?

ここに書かれてあるのは

山村商事 商品開発部 部長 山村 利夫・・・

ん?

ペンで頭のはげた目つきの悪いおっさん
と書いてあるが・・・」

(!!!!!)

義明は血の気が引いた・・・
それは自分の名刺ではなく、過去にもらった他人の名刺だった。
しかもその人の顔を忘れないようにメモを書いていて
その文章まで見られてしまった・・・

しかも会長も年齢もあって髪の毛はほとんどなかった。
これはまるで会長を挑発しているかのようなミスだった。

会長はその場は平静を装って特に怒らなかったが
徐々に不愉快になってきたのか

「今日は少し気分が悪くなってきた。
悪いが帰ってくれ」と行って二人は帰ることになった。

家を出るとき、義明は恐ろしくて何も言えない。
唯も何も話しかけず、無言で歩いていた。

「・・・失礼します」

そして二人は大きな門の外に出た。

クズの癖

唯は黙って義明を見つめていた。

「も、申し訳・・・」

義明は本当に唯が怖く感じた。
自分が犯したミスと、もともと怖い唯だったので
話しかけることも容易ではなかった。

義明はその場で唯の足元に土下座し
ひれ伏した。

「申し訳ありませんでした唯さん
本当にバカなことをしてしまいました。
どうか、どうかお許しください」

すると
「ちょっと、こんなところで何してるの?!
誰かに見られたらどうするのよ。
会長の知り合いにでも見られたら
大変でしょ!」

・・・確かにその通りだ
何をしてもうまくいかない。
その負い目が、ますます義明を卑屈にさせる。

足早に駐車場に向かう唯。
唯のペースに合わせて
息を切らしながらついていく義明。

そして二人は離れた駐車場に到着し
車の中に入った。

「とりあえず、さっさとここから離れなさい」

きつい口調で義明に言った。

「はい」

そして人気の少ない公園の横の道路で車を止めるように言われた。
一呼吸おいて

「いい加減にしてよ!」

唯は声を荒げて義明を怒鳴りつけた。

「お前はどこまでクズなの?!
どんくさいくて
とろくて
仕事もできずに
迷惑かけてばかりのクズ!

お前とかかわらなければいいと思ってたけど
社長のお願いだったから
仕方なくお前と一緒に来たら

予想通り迷惑かけて
お前のせいで商談もめちゃくちゃ!
どう責任取るの?
ねえ?
責任とれるの?

っていうか
どれくらい迷惑かけたかわかってるの?
クズだからどうせ分かってないでしょ?」

「申し訳ございませんでした唯さん
申し訳ございませんでした・・・」

唯は鋭い目つきで睨みつけている。

「申し訳・・・」

バシ!

「ひっ!」

義明はビンタされ、思わず手で顔を隠した。

「申し訳ございませんしか言えないの?
どう責任とれるのって聞いてるんだけど?
バカの一つ覚えみたいに
申し訳ございませんでした
って繰り返すのやめてくれる?
余計むかつくから・・・」

「はい・・・あの・・・
その・・・」

義明は混乱して何も言えなくなってしまった。

「お前、汗かきすぎなのよ
気持ち悪い!
外に出て、外で謝りなさい!」

「は、はい唯さん」

義明は運転席から外に出て
唯の座席の方に回って移動して
唯の前でゆっくりと土下座した。

目の前には唯のパンプスと綺麗な足先が見える。

「本当にすいませんでした・・・」

「は?!
すいませんでしたじゃなくて申し訳ございませんでした
って教育しなかったっけ?
それに謝るんじゃなくて
どう責任とるか言えって
さっきから言ってるでしょ?!
このクズ!!」

「ぐわっ!」

義明は唯に蹴飛ばされた。
地面に転がる義明。
しかし立ち上がって
再度唯のもとで跪いた。

「も・・・」

思わずまた、申し訳ございませんでした
と言いかけたが、なんとか踏みとどまった。

もう癖のようになっている。

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