本題
亜衣はその女性のことを話してくれた。
その女性の名前はひかる、
SMバーに勤めた経験のあるS女性のようで
亜衣と同じで、いじめることで快感を得る
根っからのサディストらしい。
素性が少しわかり安心した部分もあるが、むしろ不安のほうが増していた。
なぜ一緒に来たのだろう・・・
入った瞬間ボコボコにされる覚悟もしていたが
その後は全然そんなことはなく
拍子抜けするくらいだった。
しかしひかるはワインを少し飲んだ後
立ち上がって貴之のそばに来た。
「ねえ、ちょっと立ってくれる?」
そう言われ貴之が恐る恐る立ち上がると
パン!
「がああああ・・・」
ひかるは貴之の股間を蹴りつけた。
むっちりした足から繰り出される蹴りは
想像以上に強烈だった。
倒れこむ貴之。
「どうして蹴られたかわかる?」
ひかるは真顔で貴之を見つめる。
こうやってみるとひかるの顔は整っていて
改めてきれいな女性だと感じた。
バシ!
今後はビンタ。
これも脳に響くような重さがあった。
「どうかお許しください、蹴られたのは
ぼ、ぼくが亜衣様に別れたいといったからだと思います。
奴隷の分際で、生意気にも別れたいといって
すいませんでした」
痛みに我を忘れ、貴之は必死に謝っていた。
頭を床に擦り付け、何度も何度も謝っていた。
「それだけ?」
貴之は謝り方が足りないと思い
何度も土下座を繰り返した。
すると
ボゴ!
ひかるは横から蹴りを浴びせた。
貴之は衝撃で倒れこんだ。
すると亜衣は貴之の前に座り込み
貴之が顔を上げた時を狙って
思いきりビンタをした。
「ひいっ!」
もう、どうすればいいのか全くわからない。
いつの間にか我を忘れ、恥ずかしさも忘れ
必死で謝っていた。
「ねえ?それだけ?」
貴之はなぜその言葉を繰り返すのか
考える余裕もなかったが
ひかるがその答えを教えてくれた。
「30歳、名古屋に住むM男です。
現在はフリーターです。
どうか僕を奴隷にしてもらえないでしょうか。
女王様に飼育された経験はあります」
ひかるの言葉
どこかで聞いたことがある言葉だ・・・
!!
貴之は鳥肌が立った。
それは自分が掲示板に書き込んだ内容だった。
亜衣から離れたいと思った時に
亜衣を裏切って書いた文章だ。
(終わった・・・)
貴之のちん●は完全に収縮していた。
部屋が寒く感じた。
裏切った自分
サディストな二人
逃げられない個室
もうM男、SM、奉仕
などの次元の話ではない。
「すいませんでしたぁ~!」
貴之はまるで大げさなコントを見ているようなオーバーアクションで
必死で謝り続けた。
「お許しください、亜衣様
お許しください亜衣様!
僕がすべて悪かったです。
本当に反省しています。
心を入れ替えます。
どうか、どうかお許しくださいぃぃ~」
必死すぎて滑稽なくらいだった。
こんな人間の姿は一生生きていてもなかなか見られないくらいだろう。
「私最初に言ったよね?嘘をついたり他に女王様がいる奴隷は論外って
お前の犯した罪は重いよ?」
亜衣は特に同情する様子もなく、むしろ怒りを込めてそう言った。