ボコられる朋美
!!!
何度か殴られ
何度か蹴られ
何もできず汚いトイレの床に倒れこんだ。
(怖い・・・怖すぎる・・・)
「お前生意気なんだよコラッ!」
振りかぶって蹴られる朋美。
訳が分からないが
とにかく痛いし
怖い。
「許してください
許してください・・・ああっ!!」
男性からすればそれほど怖くないのかもしれないが
ごく普通の女性である朋美からすれば
異世界の人に襲われている感じで
この今の時間が現実ではない感じすらした。
「反省してるのかオメー?」
「はい、すいませんでした・・・」
「じゃあ今から全裸になって土下座しろよ」
「ぜ、全裸は・・・ひいっ!」
抵抗しても無駄だと感じた
殴り方も容赦ない
彼女たちは相当の修羅場を潜り抜けているのかもしれない
とにかく逃げられないし
この女性たちとこれ以上もめて
永く関係を持ちたくない。
全て負けを認めて
言うとおりにして
帰ってほしい。
そう思った。
朋美は服を脱ぎ
スカートも脱ぎ
下着も脱いで全裸になり
汚いトイレの床で土下座した。
「どうか、お許し下さい・・・」
てっきり憐れんでくれるかと思いきや
「ぐっ!!」
土下座した状態から顔を踏まれた。
唇を噛んでしまい明らかに出血しているのが分かった。
(この人たち、普通じゃない・・・)
するとそのまま髪をつかまれ便器の前に連れていかれ
「おら、反省してるんだったら
この便器に顔突っ込んで
20数えるまで顔つけてろ!」
ありえない要求・・・
しかし朋美はもう怖くて仕方ない。
これ以上殴られたくないので
すぐに顔を便器の中につけた。
(うぐぅ・・・汚い・・・汚い・・・)
苦しくなって思わず顔を上げると
「まだ10しかたってねえよ!」
と言って無理やり顔を突っ込まれる
「ぐはあっ!
もう無理!
もう無理です!!」
何度かこんなやり取りが続き
必死で息を吸い
覚悟を決める
「ぶはあぁっ!!」
今度は20を超えたようだ。
「はあぁ・・・はあぁ・・はあ・・・)
呆然としている朋美
「反省したか?」
長い髪の女性が顔を覗き込んでくる。
「はい、反省しました」
「今後二度と調子乗んじゃねえぞ
分かったな!」
「はい、調子に乗りません」
すると二人はトイレロールを思いきり引き出して
それを朋美に投げつけ
「ほら、拭いて綺麗にしいけ」
と訳の分からない優しさを見せ
そのまま去っていった。
(調子に乗っているって何のこと?
ただ目が合っただけなのに
お金も取られた様子もないし
何がしたかったの・・・)
朋美は本当に訳が分からなかったが
とにかく解放されたことに安堵していた。
借金取り
朋美はもうキャバクラに復帰する気はなかった。
(仕方がない・・・別の仕事を探そう)
すると家の外で声がした。
「おい、女は帰ってきているか?」
「いえ、まだ帰ってきてなさそうですね。
郵便受けにチラシとかが入ったままになってます」
朋美はドキッとした。
借金取りたてのやくざだった。
朋美は何回も転職しているうちに
借金が増え、しまいに首が回らなくなってしまった。
だからキャバクラというバイトを選んだという事もある。
しかしもうキャバクラには戻れない。
借金も返せそうにない。
彼らは何度か朋美に返済を迫ってきており
次返せなければどうなるかわかっているだろうな
と念を押されていた。
だから朋美は声を潜め、彼らが帰るのを待った。
(終わりだ・・・もうここにも住み続けられない・・・
彼らに見つかったら、それこそ何される分からない・・・)
朋美は今まで軽く考えていたが
今日ヤンキーギャルにボコられて、やばい奴らの怖さを実感した。
だから一気に目が覚めた気がした。
(何とか・・・何とかしないと・・・)
教育係?
見慣れない名前でメッセージが届いていることに気が付いた。
お店からのメッセージだった。
(ふっ、どうせクビだって連絡でしょ)
そう思ってメッセージを見ると
同じお店のマユという女性が朋美の教育係をしてくれることになった
明日からはマユと一緒に行動するように
と書かれてあった。
とにかくクビはつながった。
しかしマユって誰だ?!
なぜ自分のような人間をわざわざ教育してくれるのだろうか?
疑問は残ったが、家にもいられなくなった状況だったので
朋美は再びお店に向かった。
マユとの出会い
「あなたが朋美?よろしくね」
「あ、うん、よろしく」
目の前にいたのはメイクのせいもあるだろうが
かなりかわいいエッチな雰囲気のするギャルだった。
見た目だけで見れば自分よりははるかに若く見えた。
「じゃあ、今日からあなたの教育係になってあげるから
しっかり頑張ってね」
「あ、うん、わかった」
するとマユは
「分かったじゃないよ、私が教育係なんだから
分かりましたマユさん、って言いなさい?」
早速マユは言葉遣いから教育してきた。
不満はあったが、普通に考えればここでは先輩なんだから
仕方がない。
「わ、わかりました。マユ、さん」
朋美はマユからお呼びがあれば一緒にお店で
男性の相手をすることになった。