奴隷への歩み
「晩御飯何か作ってくれる?」
チカは命令された。
冷蔵庫を見ると何か作ることはできそうだったので
献立を考えて料理を始めた。
何度考えても、今自分が奴隷として
キャバ嬢二人のご飯を作っているのが現実とは思えない。
しかしこのような不思議な体験は、唐突に訪れるものなのかもしれない。
幸いチカは料理に慣れていたので
いい感じで料理はできた。
「え?!何?普通においしんだけど」
「ほんとにうまい」
二人はチカの料理を絶賛した。
「どうやって作ったの?」
と聞かれたので、チカは料理の作り方やコツを話し始めた。
「へ~、そうなんだ、ってかおまえもしかして結構頭いい?
なんかそんな気がするんだけど」
友理奈はチカが難しい専門用語などを、すらすらと話す様子を見て
頭がいいと感じたようだ。
バカにされて当然の奴隷になったつもりが
急に褒められたのでチカは少し当惑した。
その後も同じように
ゆるーく
奴隷と主の会話が続いたが
話すたびにチカはなかなか頭がいいなと二人は感じていた。
「こういう奴隷もいいかもね」
「そうだね、ねえお前、私たちに気に入ってもらえてよかったね。
いくら頭がよくても、あんたみたいなブスは大した役に立たないんだから
これから私たちの奴隷として頑張りなさいよ」
そう言われ
チカは
「はい、よろしくお願いします」
と正座をして頭を下げた。
しかしまずい・・・
本気で会うつもりもなかったのに
出会ってしまった上に
家まで連れていかれて
散々奴隷扱いされたあげく
これからも奴隷にしてやる
と言われた。
こんなに喜ばしいことはないが
こんなことをして本当にいいのだろうか
私自身がとんでもないことにならないだろうか
こんなことをしていいわけがない
こんなことは妄想だけでよかったはず。
なのに現実に奴隷になってしまった。
いや
こんな奇跡は二度とない
そうだ
こんなことはダメだとしても
こんな奇跡が今後あるはずがないのだ
だから逃げちゃ駄目だ
友理奈様と奈緒美様の奴隷になりたい。
これからも奴隷でいたい・・・
チカはこの家に来て
ずっと自問自答していた
チカはこの二人が意外と優しいのではないかと思っていた。
別に暴力を振るわれるわけでもないし
貢げといわれるわけでもない。
M男慣れしているため過激な発言はあるが
一線は守ってくれそうな、そんな気がした。
だからチカの心は決まった。
奴隷としてお仕えしたい・・・
はた目には何の変化もないように見えるが
チカの心の中は大きく変わっていった。
奴隷の日々
奴隷になったチカは時々呼び出された。
たいていは土日で、友理奈が目覚める昼過ぎに呼ばれ
家の掃除やご飯を作るように命令された。
いわゆるSMプレイ的なことは少なかった。
しかしチカはプレイがなくても特に不満はなかった。
ずっと年下の女性に、道具のように使われ
粗相があると叱られる
それで十分チカにとってはプレイのようなものだったのだ。
盛りのついた若いM男と違い
チカには余計な邪心のようなものはなかったので
友理奈もかなり安心していた。
チカが掃除をしている最中、ずっと眠っていたこともある。
友理奈と二人きりの時は
一緒にお笑い番組を見たりすることもあった。
ただその時でもチカは地べたに正座だった。