きっかけ
チカは35歳で独身。
中堅企業で働いている。
黒髪ショートで顔つきは地味な感じだ。
髪は毛量が多いせいかおしゃれな感じが全くしない。
奥二重で目つきは少しきつい感じもあする。
ファッションにも興味がなく、ファストファッションの無難なものばかり。
そんなチカのとりえは、そこそこ頭がいいことだ。
大学時代に簿記検定1級を取得しており
読解力や記憶力は優れている。
だから会社としては、事務処理能力の高い彼女を重宝していた。
しかし異性から言い寄られるようなことは一度もなかった。
ある日チカは自宅でSM掲示板を見ていた。
キャバ譲です。
私や私の友人と一緒にいじめられたりM男募集。
自分のしてほしいことばかり言ってくる豚は論外。
ちゃんと自分の立場理解している奴。
全裸にさせておもちゃにしたり、パシリなどにも使います。
頑張ったらご褒美上げる。
チカは実はどMでレズだった。
しかもチカはキャバ嬢の女性を内心バカにしながらも
そんな生意気な小娘にいじめられたいと妄想する
変態マゾだった。
(どうせ送るだけだし、正体もばれないし)
チカは自分を奴隷のように扱ってほしいと掲示板に返信した。
会うことなど考えてなかったし、返事が返ってくることもないと思っていた。
その書き込みに、あっという間に20ほどのM男からの書き込みがあったので
チカも無理だろうとあきらめていた。
偶然の出会い
ある日、チカは繁華街の百貨店に買い物に出かけていた。
すると聞きなれない音がしたな、と思って携帯を見ると
メッセージが来ていた。
「奴隷になりたい?」
チカは急にドキドキしはじめた。
(もしかして以前書き込んだSM掲示板の件かも)
地下鉄につながる人気のない階段に行き
「はい友理奈様、奴隷になりたいです」と返信した。
何度かやり取りすると、なんと友理奈は今同じ駅にいるということが分かった。
どんな子か見てみたい。
チカは会うのは怖いけれど、友理奈の顔を見てみたいと思った。
街にはキャバ嬢らしき女性などたくさんいる。
しかしそうではなく、自分を奴隷にしたいと言っている
そのキャバ嬢がどんな顔をしているのか
どうしても見たくなった。
待ち合わせ場所ではなく、そこから2階上に行き、そこから見てみようと試みた。
「着いたけど、どこにいる?」
友理奈が到着したようだ。
しかし上からは確認できない。
「もう少ししたら着きます。あと少し待ってください」
チカが返信する。
まだ友理奈は見えない。どこにいるのだろう。
「ってかどんな服装してる?」
「ジーパンで黒のカバンを肩から掛けています」
と返信してすぐに
「ねえ?」
振り返ると目の前に派手なギャルがいた。
髪はかなりの金髪で、身体のラインが強調されるような
グリーンのワンピース姿だった。
顔はキュートな小悪魔で異性には甘えるのが好きそうな雰囲気だった。
「2階下で待ち合わせって言ったんだけど」
自分の思惑が見破られていたのか
それとも友理奈も上から視察しようとしていたのか
いづれにしても見つかってしまった。
会うつもりなんてなかった。
ごめんなさい、やっぱり無理です
と言って去ろうと思っていた。
しかしもう顔も見られて
逃げることもできない。
動揺して動けない姿は、まるで私がチカですと白状したようなものだ。
絶体絶命の状態で、肉食獣に見つかった草食動物といった様子だった。